大手百貨店の店員などを装った人物に高齢者らが銀行のキャッシュカードをだまし取られ、現金を引き出されてしまう被害が東京都内で急増している。
警視庁は、特殊詐欺の新たな手口とみて、注意を呼びかけている。
「あなた名義のクレジットカードで買い物をした人がいます」と突然かかってきた電話で、有名百貨店の店員を名乗る人物が説明を始める。身に覚えのない内容に驚く被害者。動揺を見透かしたように、電話口の声は「口座からこれ以上引き落とされないよう、キャッシュカードを変えた方がいい」と畳み掛ける。
教えられた電話番号に連絡すると、銀行協会の職員や警察官を装った人物が対応してカードの暗証番号を聞き出し、さらに自宅までカードを受け取りにくる。
不審だと気付いた時には、既に現金が引き出されているのが典型的なパターン。
警視庁によると、こうした手口による被害は昨年1~3月に約10件、計約2000万円だったが、昨年10月ごろから急増。今年3月末までに約150件、計約2億5000万円もの被害が確認されている。
80代の女性はキャッシュカード8枚をだまし取られ、約1000万円が引き出された例もあった。
警視庁犯罪抑止対策本部では「百貨店や警察官、銀行協会の職員などが、キャッシュカードの暗証番号を聞くことや受取りにくることはない。そのような場合は間違いなく詐欺なので通報してほしい」と訴えている。
